本年度は、・材料設計と合成、・電極基板の作製、・ナノ電解法によるナノワイヤの作製、・ナノワイヤの電子特性評価・磁場中での特性測定について実験を行った。 ・材料設計と合成 昨年度と同様、比較実験用の局在スピンを持たないジシアノコバルト(III)フタロシアニン、および局在スピンを有するジシアノ鉄(III)フタロシアニンについて合成を行った。 ・重極基板の作製 ボトムゲート構造の電極基板の作製を行った。基板にはN型、P型の酸化膜付きシリコンウエハーを用いた。主にマルチギャップタイプの形状を中心に作製した。 ・ナノ電解法によるナノ単結晶作製 交流による電解で、上記二種の材料を基にしたナノ単結晶を基板上の2つの電極の間に選択的に橋渡し形成させた。作製後は走査型電子顕微鏡(SEM)によって架橋形成されていることを確認した。 ・磁場中での特性評価 電流-電圧特性の磁場効果について測定実験を行った。まず比較対象実験として局在スピンを持たないナノ単結晶を作製した基板について測定を行ったところ、50Kにおいて磁場の印加で電流が減少する効果が見られた。これは現在もその起源について検討を行っている。また、局在スピンを有するナノ単結晶を作製した基板についても電流-電圧特性の磁場効果を測定したところ、20Kにおいて磁場の印加で電流の増大が見られた。これは材料の有する負の磁気抵抗効果によるものと考えられるが、今後更なる研究が必要である。
|