研究概要 |
燃料電池触媒の表面における反応を模擬するため、Pt(111),Pt(10 10 9),およびPt(20 19 19)面を作製し、過塩素酸水溶液中における一酸化炭素酸化反応の電気化学測定および溶液中における走査型トンネル顕微鏡(STM)測定を行った。表面調製は、水素炎中で白金試料を加熱し、水素気体中で冷却することによりおこなった。Pt(111)面およびステップを持つ表面の双方において、初期には0.4V(可逆水素電極基準)と低電位から反応が開始したが、電位を0.05から1.2Vまで連続的にサイクルさせることによって、酸化開始電位が高電位側にシフトし、サイクル30回後には、一酸化炭素酸化の開始電位は約0.7Vになった。電位サイクル中におけるSTM測定においては、どの面においても滑らかであったステップエッジが、より直線的なステップへと変化することが観察された。さらに、単原子高さの小さなアイランドの生成が確認された。これは、白金表面上に存在するキンクやアドアトムといった原子レベルでの欠陥が電位サイクルをすることによって表面を拡散し、他の欠陥サイトに捕獲されて減少していく過程に対応するのではないかと考察した。 表面調整法を水素炎中の加熱から、赤外線イメージ炉を用いた加熱に変えたところ、ステップは、より理想的な配列に近くなった。初期反応性は高く保たれており、原子レベルでの欠陥は、赤外線イメージ炉を用いても、存在すると考察された。 本研究により、二酸化炭素酸化反応の電極表面構造依存性について、新たな知見を得た。
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