(1)酸化物ナノ粒子安定分散系の構築 今年度は電子デバイスへの応用などが期待されるZnOやTiO2ナノ粒子の安定な分散ゾルのワンポット合成法の確立を目指して検討を行った。具体的にはZn(NH3)42+のエチレングリコール溶液を55℃にて静置し加水分解することで10nmから30nmの粒径のZnOナノ粒子の凝集のない安定なゾルを得ることができた。また、エチレングリコール溶液を3価〜6価の多価アルコール水溶液にすることでZnO粒子の粒径や凝集構造の制御を行うことができた。更に、Zn(NH3)42+の加水分解反応により得られたZnOナノ粒子の蛍光発光特性は水溶液中のグリセリンや糖などの多価アルコールの濃度が高くなるに従いナノ粒子の粒径が減少し蛍光発光波長が短波長ヘシフトすることを明らかにすることができた。また、チタンアルコキシドと多価アルコール水溶液の混合物にアンモニアを作用させることで平均粒径が10nmで365nmの励起光により450nm付近に発光ピークを有する青色の蛍光発光性を有するTiO2ナノ粒子を得ることができた。さらにこのTiO2ナノ粒子の生成反応はアルコキシドのNH3による加水分解反応速度が糖アルコール分子の配位により抑制されたためであることを示すことができた。 (2)酸化物ナノ粒子表面における微量遷移金属陽イオンとの相互作用による蛍光発光特性変化の検討 蛍光発光特性を有するZnOナノ粒子へCu2+.Fe3+を始めとする遷移金属イオン(M)をM/Zn=10-6(モル比)の割合でごく微量吸着させることにより蛍光発光特性の変化を観測することができた。これにより遷移金属イオンの微量検出が可能であることを示した。
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