研究概要 |
Siドープ(002)面カットGaN単結晶電極を回転電極(RDE)にセットし、酸素飽和したKCl水溶液中での酸素還元反応(4電子還元の場合、平衡電位は+0.2V vs. Ag/AgCl)を調べたところ、過電圧が極めて大きい-1.3V vs. Ag/AgCl付近において酸素の拡散限界電流が観察された。それよりも貴な電位領域において、過電圧と電極回転数を変動させた時の電流を計測し、Koutecky-Levich分析を試みたところ、概ね-0.9V程度までの範囲では良好なプロットが得られたが、それよりも貴な電位ではプロットの勾配が変動し、反応電子数が減少することが分かった。4電子反応について、動力学定数を見積もったところ、標準反応速度定数はk^0=8.2×10^<-8>cm s^<-1>、移動係数は、□=0.079と求められた。酸素還元に対する活性が低いFドープSnO2_透明導電膜付きガラス電極ではk^0=1.14x10^<-6>cm s^<-1>,□=0.078であったことから、GaNは酸素の還元に対して極めて活性の低い電極であると言える。 浴中に塩化亜鉛を添加し、酸化亜鉛薄膜の形成を-1.0V vs. Ag/AgClの定電位電解により試みたところ、析出物が得られ、XRDのωスキャン測定からZnO(002)単結晶薄膜が得られていることが分かった。しかし、SEMによる表面観察力ら、エピタキシャル成長は一様ではないことが分かった。薄膜析出状態は電極表面状態の相違を反映していると予想されることから、電解前の電極表面処理及び電解電位や浴温度を制御することで、より一様なエピタキシャル析出を可能とする条件を見出す必要がある。また、色素を添加した系についてのハイブリッド薄膜の電析についても今後検討を進める予定である。
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