研究課題
(0001)面カット窒化ガリウム単結晶電極を回転ディスク電極(RDE)として用い、酸素還元に対する電極特性を調べると共に、酸素飽和された塩化亜鉛水溶液からのカソード電析による酸化亜鉛単結晶薄膜の作製を試みた。N面は酸素還元に対して完全に不活性であるのに対して、Ga面は活性を有することが分かった。種々の前処理を施したところ、KC1水溶液中でのカソード電解処理が活性向上に最も有効であり、概ね-1.3V(vs. Ag/AgC1)よりも卑な電位領域で、電解電流が酸素の拡散限界に到達することが分かった。Koutecky-Levich分析により、酸素還元の標準電荷移動速度定数が未処理電極の1.1×10^<-23>cm s^<-1>から、電解処理後に2.4×10^<-14>cm s^<-1>にまで向上することが分かったが、FTOガラス電極の4.1×10^<-7>cm s^<-1>に比べて小さく、窒化ガリウムが酸素の還元に対しては活性の低い電極であることが明らかとなった。活性の高い電極ほど緻密な酸化亜鉛薄膜が得られ、XRDωスキャンによって調べられたエピタキシャル成長の度合いも高くなることが分かった。(1011)面カット単結晶を用いた実験では、(0001)面よりも酸素還元に対する活性が高く、より良好な酸化亜鉛単結晶薄膜が得られることが分かった。非極性面に対する酸化亜鉛のエピタキシャル成長はほとんど前例が無く、水溶液からの電解析出によってそれが可能となることは、極めて興味深い成果である。
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