エレクトロスピニング法で形成したポリビニルアルコール(PVA)ナノファイバーをチタンアルコキシド溶液に浸漬させることにより、スキン-コア型有機-無機ハイブリッドナノファイバー(前駆体)を形成した(スキン:PVA-チタンアルコキシドハイブリッド、コア:PVA)。この前駆体を熱処理することによりPVAを熱分解させ、中空の酸化チタンナノファイバー(以下、TiO_2ナノチューブ)を得た。 得られるTiO_2ナノチューブの構造制御を試みた。TiO_2ナノチューブの内径は、PVAナノファイバーの繊維径を変化させることにより、200〜500nmの範囲で制御できた。TiO_2層厚は、チタンアルコキシドの種類及び溶媒を変えることにより、65-85nmの範囲で制御できた。 得られたTiO_2ナノチューブの管壁には、直径10nm以下のメソ細孔が存在することが窒素吸着法により示唆された。前駆体の熱処理時間を一定(5時間)とした場合、熱処理温度が高いほどシンタリングの影響が顕著にみられ、細孔特性(比表面積・細孔容積・平均細孔直径)は大きく低下した。熱処理温度400〜600℃はアナターゼ、700℃はアナターゼ/ルチル混合、800℃はルチルのTiO_2ナノチューブとなった。熱処理温度を一定(600℃)とした揚合、熱処理時間(3〜48時間)が長くなるほど細孔特性は徐々に低下したが、X線回折強度にはほとんど変化は見られなかった。 TiO_2ナノチューブを用いた水中でのメチレンブルー、および、気相でのアセトアルデヒドの光触媒分解を行ったところ、熱処理温度600℃で得られたTiO_2ナノチューブの光触媒能が最も優れており、本TiO_2ナノチューブは、市販アナターゼ型ナノ粒子(平均粒子径20nm)の光触媒能と同等あるいはそれ以上の性能を示した。
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