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2008 年度 実績報告書

時間分解能1ミリ秒以下でのその場測定による繊維構造形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18550191
研究機関信州大学

研究代表者

大越 豊  信州大学, 繊維学部, 教授 (40185236)

研究分担者 奈倉 正宣  信州大学, 繊維学部, 教授 (70021178)
後藤 康夫  信州大学, 繊維学部, 准教授 (60262698)
キーワード繊維構造形成 / 時間分解能 / マイクロ秒 / レーザー延伸 / ネッキング / PBT / PEN / 配向結晶化
研究概要

走行中の繊維に炭酸ガスレーザーを照射して急速かつ均一に加熱することによってネック延伸点を非接触で空間中に固定できる。この特徴を利用し、固定されたネック延伸点から任意の距離離れた点でのその場測定により、繊維構造形成過程を解析した。本年度は、Poly (ethylene naphthalate) (PEN)、Polypropylene (PP)、およびPoly (butylene terephthalate) (PBT)に関する温度プロフィールとX線回折測定を行った。PENの繊維構造解析過程では、ネック変形直後にフィブリル状の形態を持つ2次元秩序構造が形成され、数ミリ秒後に消失するのに連動して配向結晶化により繊維構造が形成されていくことがわかった。これに対し、PBT、PPではネック延伸直後(1ミリ秒以内)で既に結晶性回折が現れる。互いに似通った分子鎖構造を持つPET、PTT、PBT、PENのうち、PETとPENでは2次元秩序構造が観察され、PTTとPBTでは観察されなかったことは注目に値する。またPETについて傾斜写真の撮影を行ったところ、2次元秩序構造に傾斜配向は認められなかった。したがって分子鎖の傾斜は、2次元秩序構造が結晶に転移する際に起こっている。いずれもフィブリル状構造の萌芽はネック変形直後に形成されていることが示唆されるが、小角像に明瞭な繊維構造パターンが現れるのは数ミリ秒経過後である。このことは、繊維構造形成と配向結晶化の進行とが必ずしも一致しないことを明瞭に示唆している。また、繊維温度測定の結果より、いずれの高分子でも、外力によって加えられた仕事が延伸点ですべて温度上昇に結びついているわけでは無く、一部はいったん内部エネルギーとして蓄えられ得ていることが実証された。このことは、外力による仕事によって配向結晶化および繊維構造形成が誘起されていることを示している。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2008 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Initial Stage of Fiber Structure Developmentin the Continuous Drawing of Poly (ethylene terephthalate)2008

    • 著者名/発表者名
      T. Yamaguchi, K. Kim, T. Murata, M. Koide, S. Hitoosa, H. Urakawa, Y. Ohkoslii, Y. Gotoh, M. Nagura, M. Kotera, K. Kaiiwara
    • 雑誌名

      Journal of Polymer Science : Part B : Polymer Phvsics 46

      ページ: 2126-2142

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Initial Structure Development in the C0_2 Laser HeatedDrawing of Poly(trimethylene terephthalate) Fiber2008

    • 著者名/発表者名
      K. H. Kim, Y. A. Kang, T. Murata, S. Ikehata. Y. Ohkoshi, Y. Gotoh, M. Nagura, M. Koide, H. Urakawa, M. Kotera
    • 雑誌名

      Polymer 49

      ページ: 5705-5713

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ヒーター加熬とレーザー照射加熱の併用によるポリ乳酸/ε-カプロラクトン共重合体モノフィラメントの延伸2008

    • 著者名/発表者名
      伊舌賀敏文, 遠藤雅紀, 黒田幸司, 大越豊, 後藤康夫, 奈倉正宣, 鴻野滕正, 中井浩一
    • 雑誌名

      鐵維学会誌 61

      ページ: 181-186

    • 査読あり
  • [学会発表] ポリプロピレン鐵維の炭能力スレーサリー加熱延伸工程における鐵維構造形成過程解析2008

    • 著者名/発表者名
      池畠総一郎, 金慶孝, 會田亮, 大越豊, 後藤康夫, 奈倉正宣, 姜英娥, 浦川宏, 綿岡勳
    • 学会等名
      成形加エシンポジア'08 p. 95-96
    • 発表場所
      福井大学
    • 年月日
      20081031-20081101
  • [学会発表] PEN繊維の連続レーザー延伸過程における繊維構造形成初期過程の解析2008

    • 著者名/発表者名
      金慶孝, 曾田亮, 姜英娥, 池畠総一郎, 大越豊, 後藤康夫, 奈介正宣, 綿岡勲, 浦川宏
    • 学会等名
      成形加エシンポジア'08 p. 97-98
    • 発表場所
      福井大学
    • 年月日
      20081031-20081101
  • [学会発表] ポリプロピレン及びポリビニルアルコール大高の炭飽ガスレーザー延伸工程におけるX線回折像の変化2008

    • 著者名/発表者名
      池畠総一郎, 金慶孝, 大越豊, 奈倉正宣, 後藤康夫, 綿岡勲, 浦川宏
    • 学会等名
      第17回繊維連合研究発表会演予稿集(PA 101)
    • 発表場所
      奈良女子大学
    • 年月日
      20080828-20080829
  • [学会発表] 炭酸ガスレーーザー加熱延伸によって形成されたPoly(ethylone 2, 6-naphthalene dicarboxylate)の鐵維構造と物性2008

    • 著者名/発表者名
      會田亮, 金慶孝, 池畠総一郎, 姜英娥, 大越豊, 後藤康夫, 奈倉正宣
    • 学会等名
      鐵維学会予稿生58
    • 発表場所
      タリーホール船堀
    • 年月日
      20080618-20080620
  • [図書] 精密高分子の基礎と実用化技術(溶融構造制御PET繊維の延伸挙動解析)2008

    • 著者名/発表者名
      大越豊
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      シーェムシー出版
  • [備考]

    • URL

      http://soar-rd.shinshu-u.ac.ip/soar/profile.do?lng=ja&id=jUkejekV

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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