研究課題
光反応の量子収率は分子の反応を表す重要な指標であり、通常は分子の種々の光物理過程のうち反応の割合として定義される。しかし、高分子固体中では高分子マトリックスの作る自由体積の影響を受け、広い分布をもつ。この分布は各極微反応空間の局所自由体積と分子の活性化体積の相対的関係できまると予想される。本研究では種々の活性化体積をもつ分子の量子収率分布を求めた結果、分子の活性化体積が大きくなるに従って、高分子中における平均量子収率と溶液中における平均量子収率の比が増加し、ついには固体中の反応が溶液中の反応よりも大きくなることを見出した。これは、溶液中では動的な自由体積があるのに対し、固体中では静的に反応空間が保持されていることによると説明される。この知見は、光酸発生剤などの高分子系の光機能材料の分子設計に重要であり、効率的な分子設計と、それを活用した機能について継続して検討を行って行く。
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