研究概要 |
DVD(digital versatile disk)は光相変化という現象に基づいた記録動作を行っているが,「相変化記録はどこまで高密度化できるか」を明らかにすることが,本研究の目的である.相変化膜として,現行DVDで使われているGe2Sb2Te5(以下,GSTと略記)膜を用いている. 2005年までの我々の研究によって,アモルファスGSTに結晶マークを書き込む際の最小径は10nm程度であることが分かっていたが,本研究で,結晶GSTにアモルファスマークを書き込んでも最小径が10nm程度になることを発見した.しかし,これは偶然の一致のようで,マーク径のGST膜厚への依存性などは,上記の場合と全く異なる. そこで我々は,「なぜ結晶GSTにアモルファスマークを書き込んだとき最小径が10nm程度になるか」を調べた.その結果,結晶GSTの結晶粒の大きさが10nm程度であることを見出した.この事実は,一つの結晶粒がアモルファス化することが,最小のアモルファスマーク径を支配していることを暗示する.記録エネルギーの膜圧依存性なども,この考えを支持する. それで我々は,「結晶粒大きさが違った結晶GST膜を作ったら,違った大きさのアモルファスマークが出来るか」を確認しようとした.しかし,熱処理温度を変えて結晶GSTを作ろうとしても,GSTが電極基板と反応してしまい,この試みはうまくいかなかった. 我々は現在違った方向から,本研究にアプローチしている.それは,二つのGST結晶(面心立方と六方晶)からの電気相変化を調べることである.この研究から,さらに詳しくナノスケール相変化の全容が解明できると期待できる.
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