研究課題/領域番号 |
18560003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柳原 美廣 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40174552)
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研究分担者 |
北上 修 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70250834)
江島 丈雄 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80261478)
羽多野 忠 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90302223)
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キーワード | 応用物性 / 磁性多層膜 / 界面 / X線磁気円二色性 / X線定在波 / 反強磁性結合 / 磁気モーメント / 非破壊評価 |
研究概要 |
Fe/Si磁性多層膜は、厚さ1nmほどの拡散層があるにもかかわらず、反強磁性層間結合が強く現れる系として注目されている。しかし、そのメカニズムについてはまだ決着が付いていない。これまでの研究において、結合強度の最も強いFe/Si多層膜試料について軟X線発光分光によって解析した結果、もとのSi層はFe層との相互拡散により、FeSi_2層をFe_3Si層が挟む構造に変わっていることを明らかにした。そこで、本研究では、1)軟X線定在波を利用した内殻吸収MCDによって界面近傍のFe 3d電子の磁気的状態を深さ分割して決定し、界面の磁性状態を解明する。2)その結果と、軟X線発光分光から得られる界面拡散層の化学結合状態を比較し、磁性状態と拡散の関連を議論する。3)また以上より、量子波干渉モデルも含めてFe/Si多層膜の強い反強磁性結合の起源を明らかにすることとした。今年度は、本研究の最終年度として、前年度の研究の再現性のチェックと解析を試みた。その結果、Fe/Si多層膜の拡散層では、強磁性であるFe_3Si層の中でスピン、軌道各磁気モーメントが増大していることを確かめた。また、とりわけ反強磁性結合した試料では、Fe_3Si層のより内側の、すなわち、非磁性のFeSi、あるいはFeSi_2層に近い領域で磁気モーメントが増大していることを初めて見出した。実質的に極めて薄いスペーサー層(FeSi層とFeSi_2層)を介してFe_3Si層が強く反強磁性結合しているとみなせるので、これらの結果は、量子波干渉モデルを支持していると考えられる。また、定在波を用いた軟X線MCD測定は、磁性多層膜界面の磁性状態を非破壊で深さ分析するのに有用な方法であることを本研究によって実証した。
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