研究課題/領域番号 |
18560005
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
大貫 等 東京海洋大学, 海洋工学部, 助教 (60223898)
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研究分担者 |
和泉 充 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (50159802)
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キーワード | バイオセンサ / ラングミュア・ブロジェット膜 / プルシアンブルー / コレステロールオキシターゼ / コレステロールセンサ / 超薄膜 |
研究概要 |
昨年までの研究より、次の結論が得られた。陽イオン性長鎖アルキル分子Octadecyl-trimethylammonium bromide(ODTA)とプルシアンブルー(PB)ナノクラスターから構成されるラングミュア・ブロジェット(LB)膜をグルコースオキシターゼ(GOx)溶液中に浸漬すると、静電相互作用により酵素がLB膜中に固定化されODTA/PB/GOx LB膜が得られる。このLB膜は他物質の影響を排除した高精度なグルコースセンサを構成する。つまり、酵素反応の最終生成物であるH_2O_2がPBの酸化還元サイクルにより非常に低い印加電位(O V vs. Ag/AgC1)の下で還元され、これに対応した電流が発生する。このメカニズムは固定化する酸化酵素の種類によらないと考えられ、従ってODTA/PBLB膜に他の酸化酵素を固定化することにより、様々な種類のバイオセンサが作製可能であると推定される。今年度はこの点を確認するため、コレステロール酸化酵素(ChOx)を固定化した新規コレステロールセンサの開発を行なった。 ODTA/PB LB膜をChOx水溶液に浸漬し、リン酸バッファ(pH=7)中でリンスすることでChOx固定化した。赤外反射吸収スペクトル法による計測を行なったところ、たんぱく質に特徴的なN-H伸縮振動による吸収ピークが観察された。この結果より、本試料においてChOxの固定化が確認された。さらにアンペロメトリー法を用いたコレステロールセンサ特性を調べたところ、非常に小さな印加電圧下においてもコレステロール濃度の増加に対して電流値の直線的な増加が観察され、良好なセンサ特性が得られた。従って、本試料はコレステロールセンサとして働くことが分かった。 以上の結果は、ODTA/PB LB膜はバイオセンサ作製の出発物質として非常に有用であることを示している。すわなち負に帯電し易い一般的な酸化酵素に対しては、単純に酵素溶液にLB膜を浸漬するだけで酵素の固定化を行なうことができ、これにより様々なバイオセンサを構成することができる。
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