研究課題
本研究課題は、低温活性金属触媒体の触媒分解効果を用いて窒素系ガスを高効率に分解、従来技術である熱CVD法に比べ低温で窒化物電子材料薄膜を堆積すること、ならびに本技術を用いることで有機金属化学気相成長(MOCVD)法より低温で小さなV/III原料供給比での高品位窒化ガリウム(GaN)結晶の成長技術を確立することを目標としている。3目である平成20年度の研究成果は、以下の通りである。昨年度報告したアンモニア分解触媒であるルテニウム(Ru)の反応を用いて高エネルギーの窒素系プリカーサーを形成、トリメチルガリウムと反応させることで600-800℃という低温でGaNエピタキシャル膜を成長させる手法についてさらにデータの蓄積をした。具体的にはRu表面積の増大によりより結晶性・光学特性の良好なGaN結晶膜を得た。同時に、Ruをコートしたメッシュ状の加熱タングステンワイアを用いたCVD法においてアンモニアおよび有機ガリウム原料ガスをパルス状に供給することで気相反応を抑制し、Si基板上に高品質なGaN結晶膜のエピタキシャル成長を試みた。このパルスモードホットメッシュCVD法において炭化層(SiC層)、AlN層を挿入したSi基板に様々なガス供給モード、ガス供給タイミングの条件においてGaN膜のエピタキシャル成長を試みたところアンモニアガスは、連続供給、有機Ga原料ガスはパルスモードで成長させたGaNにおいて最も結晶性・光学特性の良い結晶膜を得た。また有機Ga原料ガスの繰り返し間隔には最適値があり、その時結晶性が向上すると共に、堆積速度が最大となり、また表面モフォロジーが最も良好になることが分かった。この最適パルスガス供給条件においては気相反応が最も抑制されると共に基板表面反応が最も促進され、化学量論組成のGaN結晶膜成長条件になることが分かった。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
Thin Solid Films 517
ページ: 3528-3531
Japanese Journal Applied Physics 48(In press)
http://kyasuiweb.nagaokaut.ac.jp/index.htm