研究概要 |
◎ZnO透明導電膜 透明導電膜の多くはITO(InとSnの酸化物)で形成されているが、ITOの主成分であるInが枯渇しており代替材料の研究が注目視されている。その中で酸化亜鉛薄膜(ZnO)が特に注目されている。ZnO薄膜単体では透明な薄膜は作製できるが金属酸化物であるため電気的に高抵抗である。この問題を解決するのにAl,やGa等の金属元素をドープさせ、導電性を持たせる方法が研究されている。本研究はこれら他元素を必要とせず低抵抗ZnO薄を形成することを目的とした。マイクロ波表面波プラズマは、低電子温度、高密度という特長を持っている。この特長を生かしあらかじめ作成しておいた高抵抗を示すZnO薄膜に対して、表面波励起水素プラズマを照射することにより表面改質を行ない、透明度を失うことなく低抵抗化することが可能になった。 実験はあらかじめ真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等でZnO薄膜を成膜しておく。一例としてガラス基板上に膜厚1500Å、初期抵抗率2.0×10^6[Ω・cm]の試料をプラズマ照射源から12cmはなれたところに設置した。マイクロ波表面波の出力は1[kW]、ラングミュアプローブを用いた測定でプラズマ密度は5.0×10^<11>[cm^<-3>]、電子温度は0.15[eV]となっている。このような条件のマイクロ波表面波水素プラズマを照射時間15秒〜180秒と各々変化させ照射時間に対するZnO薄膜の抵抗率の変化を測定した。その結果、抵抗率は2.0×10^6[Ω・cm]から60秒照射で3.2×10^<-3>[Ω・cm]に大幅に減少し可視光領域で90%以上の高透過率を示す導電膜になった。これらの試料は大気中での時間経過とともに透過率や抵抗率の変化も見られず、かなり良質の透明導電性を持ったZnO薄膜である事が判明した。
|