研究概要 |
◎ ZnO透明導電膜 近年透明導電膜として,ITOに代わり酸化亜鉛薄膜(ZnO)が特に注目されている。ZnO薄膜単体では透明な薄膜は作製できるが,金属酸化物であるため電気的に高抵抗である。この問題を解決するのにAl,やGa等の金属元素をドープさせ,導電性を持たせる方法が研究されている。本研究はこれら他元素を必要とせず低抵抗ZnO膜(高導電率)を形成することを目的とし,水素プラズマを利用したZnO透明導電性化の実験に取り組んでいる。昨年はマイクロ波表面波H2プラズマをZnO膜に照射することにより,可視域での高透過率を維持したまま,高導電性(低抵抗化)を付与することができた。膜厚1500AのZnO膜はH_2プラズマ未照射の場合は2×10^6(Ωcm)有していた抵抗率をマイクロ波表面波1[kW]のH_2プラズマを60秒照射することにより,ZnO膜の抵抗率3.2×10^<-3>(Ωcm)まで下げることができた。今年度は,これと比較して同じZnO膜に対し2(Pa)の水素ガス圧力で通常の高周波(13.56MHz)によるH_2プラズマを照射したところ,約10分で抵抗率を〜×10^<-2>(Ωcm)まで下げることができた。ZnO膜に対し,水素プラズマ照射することにより抵抗率が低下した原因に,プラズマ照射したH_2原子がどのように係わっているかをSIMSにより調べたところ,いずれの場合も膜内に水素が存在していることが判明した。この水素が持つ電子の軌道がZnや0と連携し,電気伝導性を高め,低抵抗下の原因となって作用していると考えられる。これらの詳細についても目下解析中である。
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