この研究の主目的は、ZnO薄膜に他原子をドープすることなく、H_2プラズマ照射のみ行うことで、膜の低抵抗化と化学量論比を変化でき、幅広い応用の透明導電膜を形成することにある。プラズマは減圧下(0.1〜10Pa)で2.45GHzのマイクロ波を供給して得られる表面波励起プラズマを利用して地球環境負荷軽減効果をも考慮し、ITOに変わるZnO透明導電膜の研究を行うものである。 今年度は、H_2プラズマ照射後のZnO膜の結晶性について測定した。 その結果、マイクロ波で十数秒、高周波で数分のプラズマ照射では結晶構造に大差はなく、ZnO(0002)面が主に観測された。 またH_2原子が膜内にドープされる可能性をSIMSで測定した結果、次のことが判明した。 Zn原子とO原子の割合は、H_2プラズマ照射前後によりその割合が反転した。これはO原子の一部がH原子により還元されたものと考えられる。また、O原子の代わりにN_2プラズマを照射すると、抵抗率は数桁低くなり、H_2プラズマ程低くならないものの、ホール効果測定を行ったところ、一部の実験条件下でP型ZnOが形成されることが判明した。
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