研究概要 |
研究の最終年度である本年は以下の研究を遂行した. 昨年度導入した8コアー16GBRAMのクラスター型ワークステーションをフルに作動させたが, その後のプログラム開発に手間取ったため, ワークステーションを追加購入し, 両機をデータ収集と整理に当てた. 1. 周期系をベースにしないネットワーク型UDPSがTEモードのバンドギャップを持つことは確認できたが, TMモードにはギャップが発現しなかった. そのため, 更に広範なパラメータに渡って計算を遂行した. 各節点に存在する誘電体円柱はTMモードのバンドギャップ発現に寄与するが. 同時にTEのバンドギャップが狭められることが分かり, 両モードのギャップ存在は互いに相補的であることが判明した. 両モードのギャップが共存するパラメータの範囲がある程度特定できたが, 両者同時に深いバンドギャップを持つモデルの発見には至らなかった. 2. TiO2等の系は数百に及ぶ非常に高い誘電率を持ち, これを素材とするメタマテリアル系が近年注目されている. この系はTMとTEにおいて鋭いMie共鳴を持つ. この点に着目し, 当初のUDPS配置に戻り, 構成要素の誘電が非常に高い場合でのギャップをFDTD法によって求めた. その結果, 共鳴の次数は違うが周波数が重なる領域を見出し, 完全バンドギャップの創製に成功した. 3. UDPSの構成要素の形状を円柱に限定していたが, Mie共鳴状態が円柱に限定されるものではないことに着目し, 円柱系を等積変形させた系でバンドギャップを探索した. その結果, 相当量の変形に対してもUDPS系のギャップが高い耐性を持つことを見出した.
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