研究概要 |
2次元フォトニック結晶(PC)スラブ導波路を利用した対称マッハツェンダー型光スイッチ(PC-SMZ)は,超高速・低エネルギーでの動作が可能な極微小の全光素子である.光スイッチの信号・制御光として超短パルスを用いるためには,広帯域で平坦な透過特性をもつ導波路構造が望まれる.トポロジー最適化(TO)法は,所望の特性を得るように設計領域の屈折率分布を最適化する手法である.本年度は,交差導波路,曲がり導波路,Y分岐導波路にTO法を適用し導波特性の改善を試みた.特に,大規模集積化を想定し,エア・ブリッジ型PCスラブ導波路の非漏洩モードの波長範囲で高透過率を得るよう最適化した.また,計算過程で必要となる中間的な屈折率を排除するためのペナルティー項を導入することで,試料作製を容易にする設計を行った. (1)交差導波路 PC-SMZの制御・信号パルス導波路の交差を念頭に置き,低損失で広帯域な交差導波路を検討した.TO法を用いることで,高透過率と低クロストークを同時に満足する良好な計算結果を得た.GaAs層をコアとするエア・ブリッジ型2次元スラブ導波路構造を作製し透過特性を評価することで,クロストーク低減(14dB)を実験的に検証した. (2)曲がり導波路 PC-SMZ光回路内で多用される60°曲がり導波路の最適化を行った.最適設計では,バンド端に近い波長範囲における反射損失が抑制され,広帯域で平坦な透過特性を得た.試料作製・光学測定を行い,最適化彼の曲がり導波路は直線導波路と同等の透過特性を有することを実証した. (3)Y分岐導波路 波長選択性を有するY分岐路の設計を行った.最適化により,信号光,制御光それぞれの入力に対し,不要ポートへの戻り光を抑制し,平坦・高透過率な透過特性が得られた.波長1300nm付近で信号光と制御光の離調35nmで消光比20dBを得た.
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