研究課題
基盤研究(C)
本研究ではホログラムを用いた軌道角運動量検出・変換システム、干渉計を用いた重ね合わせ状態検出システム、光子の同時計数による量子相関検出をの3つを組み合わせた新しい軌道角運動量もつれ合い状態測定系を提案し、光子の角運動量もつれ合い状態の精密測定を目指した。測定対象はパラメトリック蛍光による光子対とし、シグナル光・アイドラ光それぞれについて主に2つの軌道角運動量状態からなる部分空間を想定した。以下を明らかにした。1.光子対のアイドラ光側に本研究で提案する干渉計システムを、シグナル光側に従来のホログラムシフト法を用いた量子相関検出実験により、もつれ合い状態の検出に成功した。干渉計システムによって選択される観測基底と従来法によって選択される観測基底との間の対応が確認された。2.干渉計システムの採用により目的外の軌道角運動量成分を相対検出効率で0.4%以下まで遮断できることを確認し、従来法に対して明らかな改善を得た。3.ホログラムの改良、光軸特定の改善等により測定系の高精度化を行った。ホログラムについては歪みを定量化する指標を考案し、これを設計にフィードバックすることで歪みの除去を行った。4.軌道角運動量もつれ合い光子対の検出実験におけるGouy位相の効果について実験・理論の両面から明らかにし、光子の軌道角運動量重ね合わせ状態の新しい操作法について提案を行った。5.シグナル光子・アイドラ光子双方について3つ以上の軌道角運動量状態を含んだ高次もつれ合い状態の生成・検出について、有限の結晶長を考慮して理論的検討を行った。ホログラムシフト法で得られる同時計数率の分布に現われる高次もつれ合いの効果を明らかにした。また結晶長が長くなるにつれて同時計数率が最大となるホログラム位置にずれが生じることが分かった。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (27件)
Physical Review Letters 101
ページ: (050501-1)-(050501-4)
Physical Review Letters 101-5
ページ: 050501-1-050501-4
光学 35
ページ: 618-624
Japanese Journal of Optics 35-12