研究概要 |
光領域において金属は複素誘電率を持つ誘電体になる.従って伝搬定数も複素数になり,現時点では提案したプラズモン空隙光導波路問題を,複素平面内で分散関係式のゼロ点を探すという固有値問題として解くのは難しい.波長を変えながら三次元伝搬シミュレーション結果から電界分布を求め,その分布から位相定数,減衰定数を求めるしかない.平成18年度は予備的計算に成功した.求めた結果を利用して,プラズモン空隙光導波路を利用した高効率金属ティップ(先端)近接場光プローブの設計・シミュレーションを行った。申請者らが提案した、プラズモン空隙光導波路を利用した高効率金属ティップ近接場光プローブにおいて、金属プローブティップで近接場光を局在増強する原理は,現在近接場光学で利用される散乱プローブと同じである.しかし,プラズモン空隙光導波路を利用したプローブでは,プローブ先端はプローブ内部を伝搬してきたプラズモンで照射するため,従来の散乱プローブのようにプローブを外部光源で照射する必要がない。従って,外部光源で照射することから生ずる大きな背景雑音光を避けることができ,プローブ顕微鏡等への応用を考慮すると極めて興味深い性質を持っている.平成18年度は,従来開発してきた体積積分方程式+繰り返し法+高速フーリエ変換を利用したソースコードを改良した.このコードを利用して,プラズモン空隙光導波路の応用として最も実用に近い近接場高効率金属ティッププローブの最適設計を行った.以上の結果をApplied Physics Letters誌およびOptics Express誌に論文として掲載した。
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