研究概要 |
本年度の研究実績:(1)ポリオール法によるPtFe合金微粒子は,X線結晶解析(XRD)による結晶構造及び粒径の測定から,不規則型fccであり,平均粒径は3.1nmであった。Feの電子状態は,透過型メスバウアー分光(TMS)測定からは常温でアイソマーシフト(I.S.)+0.35mm/s,四重極分裂(Q.S.)0.85mm/sであり,外国の文献の値と一致した。 (2)しかし,サイクリック・ボルタモグラム(CV曲線)測定から,触媒活性度は白金単味より弱いとの結果を得たので,XPSによりPt,Feの酸化状態を測定した結果,PtFe合金微粒子は有機配位子に囲まれたり,α-Fe_2O_3の殻に囲まれていると判断した。ここまでの結果はICAME2007(インド工科大・カンプル)に発表した。 (3)Ar+4%H_2のガス雰囲気で約630℃で5minアニールを行ない,粒径は18nmまで増大した。XRD,TMSから,fct構造に変化していることが確認された。しかし,CV曲線の測定からは期待した触媒活性度は得られなかった。XPSによりFeの酸化状態を測定すると酸化していることが確認された。 (4)湿式でないプラズマ・ガス凝縮クラスター堆積法よるPtFe合金微粒子の作製を名古屋工大,隅山兼治教授に依頼し,その組成,Feの電子状態をラザフォード散乱分光(RBS),TMSにより調べた。α-Fe成分が27%含まれ,PtFe合金微粒子のI.S.,Q.S.はポリオール法と同じであることから,Feの酸化を防ぐ方法を検討している。 (5)一方,デュイスブルグ大,ウルム大等の合同チームが湿式の化学的手法により作製したPtFe合金微粒子を水素プラズマに30min.晒すことにより,Feは還元されることを発表した。そこで,同様の試みを行い,XPSからFeが還元されることが確認された。現在そのPtFe合金微粒子の触媒活性度の測定に向けての研究を行っている。 (6)磁場印加CXMS用にアバランシェホトダイオードにCsl(Tl)結晶の組合せ低エネルギーX線用検出器を作り,常温で14.4keVγ線を観測するまで到達したが,6.4keVのFeのKX-rayを観測するため,ペルチェ素子による冷却を試みている。
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