研究概要 |
1.1次元空間周期性をもつ2次元ポテンシャル問題,たとえは,1次元周期的に配列された無限個の伝導体をもつ2次元静電場の問題1次元周期的に配列された無限個の障害物をすぎる2次元ポテンシャル流の問題に対する境界要素法を開発した.これらの空間周期的問題の解は周期関数を含むが,従来の境界要素法では周期関数を含む解の近似を与えるのが困難であった.それに対し本研究では,Laplace方程式の周期的基本解,物理的に言えば,周期的な無限個の電荷配列によるポテンシャルを用いた境界積分方程式を構成し,それを基本として空間周期的問題に対応した境界要素法を開発した. 2.1次元周期的に配列された無限個の障害物をすぎる2次元Stokes流の問題に対し,Stokes方程式の周期的基本解(周期的Stokeslet)に基づく基本解法(代用電荷法)を開発した.この問題も解は周期関数を含むが,従来の基本解法では周期関数を含む解の近似を与えるのが困難であった.これに対し本研究では,Stokes流方程式の周期的基本解,物理的に言えば周期的Stokeslet,すなわち,周期的な無限個の点荷重列による流れの重ねあわせにより解の近似を与えるという基本解法を開発した. これらの研究成果は半解析的数値解法(境界要素法,基本解法など)の新たな可能性を与え,さらには,偏微分方程式の数値解法に新たなツールを与えると期待される. なお,当年度の交付申請書に記した研究計画では,半解析的数値解法のhigh performance computing,動的問題,周期的弾性問題に対する境界要素法を扱う予定であったが,研究進度が当初予想したより芳しくなく,これらの研究目的を達成することができなかった.これらについては平成20年度以降の研究課題としたい.
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