研究概要 |
本研究は,このマーカ粒子特性有限要素法を発展させることにより,固体と流体で現れる様々な大変形問題に対する統一的な数値計算手法の構築を目指すものである.18年度の研究において得られた成果の概要は以下の通りである. 1.超弾性構成則の定式化 マーカ粒子特性有限要素法において超弾性体を取り扱うため,研究体表者が提案しているupdated Lagrange型の超弾性構成則の評価手法を本研究で提案する手法に適用した.この超弾性構成則の評価手法では,相対変形勾配テンソルを積の形で積分することにより,Euler型変形記述の枠組みで全変形に対する変形勾配テンソルが求められることを利用している.その結果,エネルギ密度関数で定義された超弾性構成則にしたがって,変形テンソルから応力を直接求めることが可能となった. 2.非圧縮拘束条件の導入 一般の超弾性体は大変形時に非圧縮性を呈する.そこで,非圧縮拘束条件に対するLagrange乗数である圧力を独立な自由度として導入した非圧縮体に対するマーカ粒子特性有限要素法の定式化と有限要素スキームを開発した.特に,要素領域の一部分のみが物質領域となる要素においても,非圧縮条件が適切に課されるよう,解析領域全体に非圧縮条件を課し,物質が存在しない領域には,人工的な拡散項を導入するスキームを提案した. 3.数値計算プログラムの開発と数値計算による手法の評価 上述のように定式化された数値計算手法について,実際に2次元の動的問題に対するプログラムを作成した.構成則としては,ゴム材料を想定し,Mooney-Rivlin材料を用いた.開発されたプログラムを用いて,代表的な大変形問題の数値計算を行い,手法の数値特性を把握するとともに,本研究で提案するアプローチの有効性を確認した.
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