研究概要 |
本研究は,このマーカ粒子特性有限要素法を発展させることにより,固体と流体で現れる様々な大変形問題に対する統一的な数値計算手法の構築を目指すものである.19年度の研究において得られた成果の概要は以下の通りである. 1.手法のニュートン流体への拡張 平成18年度に開発された非圧縮体に対する計算手法に基づき,ニュートン流体の構成則を用いた手法に拡張した.本研究では,数値安定性の観点から2次精度時間積分法であるクランクーニコルソン法を適用した.このとき,ニュートン流体では,応力がひずみ速度によって決定されるため,速度を未知数とする運動方程式には慣性力による項の他に粘性による項が行列に現れるものとなった. 2.流体の自由表面に対する計算プログラムの開発 上述のように定式化された数値計算手法について,3次元の非圧縮粘性流体の自由表面問題を対象とするプログラムを作成した.3次元化においては,マーカ粒子を積分点とする数値積分において,積分重みの決定アルゴリズムが非常に複雑となることから,非圧縮性からマーカ粒子の分布がほぼ一定となることを仮定し,一定重みによる計算アルゴリズムの検討を行った. 3.数値計算による手法の評価 開発されたプログラムを用いて,代表的な自由表面問題であるダムブレイク問題の数値計算を行い,手法の数値特性を把握した.
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