研究概要 |
本研究の目的である,地球から月あるいは他の惑星へ飛行する宇宙ロケットに対する低コストの軌道の設計,2足歩行ロボットの低いエネルギー消費の歩行パターンの生成,高精度の測定が可能な原子間力顕微鏡の機構の開発において有効である,当初計画してはいなかった革新的な制御手法を提案した.本手法は,前年度に提案したホモ/ヘテロクリニック軌道に対する数値計算法を安定/不安定多様体が計算できるように拡張し,目標とする平衡点の安定多様体を計算することにより最適制御則を求めるというものである.この制御手法のアイデアを用いて,地球から月へ飛行する宇宙ロケットに対して最適制御を行うことにより,これまでに求められているものと同等の低コストの遷移軌道が得られることを確認した.また,腰部と踵部にモータが取り付けられた,膝に関節を持たない2足歩行ロボットのコンパスモデルに対して,これらのモータに一定のトルクを発生させるだけで生成される,受動歩行と類似の低コストで安定な歩行パターンを設計した.安定性や発生する分岐現象を解析し,平地や上り坂を含む広い範囲の斜面に対してこのような歩行パターンが存在することを示した.一方,タッピングモードで動作する原子間力顕微鏡に対しては,カオス制御の方法を修正して適用することにより,プローブであるマイクロ・カンチレバーの振動を制御し,試料表面を測定するという新しい動作方法の数値シミュレーションを行った.
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