研究概要 |
統合的リスク理論およびその定量的解析手法の構築を主題として,以下のような研究成果を得た。 [1]平成18年度の研究で定量化の基本方針を与えたリスクの具体的な評価を行うための確率モデルの構築のための理論的整備を行なった。リスクの評価を与える確率モデルは,リスクの時間変動を取り扱えるようにするために,確率微分方程式に基礎を置くものとし,さらに,様々なシステムに汎用的に対応し得ることを要請するために,リスクの原因となる種々の不確実要因に対する数学モデルである「駆動雑音」のタイプを,レビイ過程のある種のクラスにまで拡張し,定式化を含め基礎的事項の整備を行った。 [2]研究代表者のこれまでの研究成果に基づき,ギルサノフ・メイヤーの定理およびデルバエンの提案する測度変換に立脚した確率測度変換法に基づく高速シミュレーション手法を活用し,[1]で構成した確率モデルの定量解析,およびリスクの数値評価のための重点サンプリングシミュレーションスキームを構築し,いくつかの例題への適用を通じて,有効に機能することが確認できた。 [3]リアルオプションと深い関連を有する,地震リスク評価のための高速シミュレーション手法の改良,および気温デリバティブによるガス会社の冬季リスクヘッジ問題,などへの応用を行った。
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