今年度は可積分なセルオートマトンの簡約化に相当する超離散化可能な高階差分方程式に焦点を当てた。その結果、ある種の3階の可積分な差分方程式がお互いに相異なる2階の可積分な差分方程式から構成されているということがわかった。今まで3階可積分な差分方程式については、その構造が未知な点も多かったため、これは大きな一歩である。またこの差分方程式は超離散化可能であり、セルオートマトンへの応用が期待できる。この結果は論文"Third-order integrable difference equations generated by a pair of second-order equations"にまとめられている。さらに今年度はアトラクタを持ち、超離散化可能な差分方程式にも焦点をあてた。超離散化の手法は今まで主に可積分系に適用されてきたが、ある種のQRT系を拡張した非可積分な系がアトラクタを持ちながらも超離散化可能であることを発見した。これは今までにない結果であり、超離散化法の非可積分系への今後の展開が期待される。またセルオートマトンへの応用も同様に期待できる。この結果は論文Discrete mappings with an explicit discrete Lyapunov function related to integrable mappingsにまとめられている。来年度はこれらの実績をもとに、粒子系への研究も展開していく予定である。
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