昨年度は、チタン粉末シートを用いたレーザ積層法による3次元ポーラスネットワーク構造の作製技術の確立を目指し、以下の項目を検討したので、その結果を示す。 1)高精度な構造設計を可能とする4面体要素を利用した3次元ポーラスネットワーク構造設計方法の導入 設計概念に対応したソフトウェアが購入できなかったため検討には至っていない。 2)厚さ方向の高分解能化を目指したチタン粉末の細粒化およびシートの薄膜化 レーザ焼結において、より球状で微細かつ均一な粒径のチタン粉末が最適であることを確認し、微粒化方法としてガスアトマイズ法が最適と判断した。同方法による平均粒径φ20μmのチタン粉末から作製したシート膜厚は約150μm、焼結後の各シートの厚さ、すなわち分解能は100μm以下であった。 3)高集光性レンズの導入による高分解能レーザシートカッティング装置の構築 高性能レンズの導入のほか、レーザのビームプロファイルなどのレーザパラメータにも着目し、最適化を行った結果、膜厚200μmのチタンシートのレーザカット実験において、ビームスポット径とぼぼ同等の約200μm幅でのレーザカッティングを確認した。 4)放電プラズマ焼結実験時の空間保持材とその充填方法、および焼結条件の最適化による高精度造形方法の確立 空間保持材として、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、塩化ナトリウムを選択し、また、充填時の加圧や低真空・還元雰囲気での焼結条件を導入した結果、保持材の熱膨張率と破壊による体積収縮率が最適な塩化ナトリウムにおいて、良好な焼結結果が得られた。 5)異なる溶剤の使用や異種材料シートの積層により作製した構造物の内部ポーラスネットワークの評価 チタン粉末シート、およびレーザカッティングチタンシートの積層焼結実験を行った結果、人工骨への応用に適した300μmの微細空孔を有する3次元ポーラス構造体の作製に成功した。
|