本研究では、(1)金属粉末シートを用いたレーザ積層法、並びに(2)金属材料シートを用いたレーザ積層法による3次元ポーラスネットワーク構造の創製技術の確立を目指して検討を行った。 1) チタン粉末の細粒化および薄膜シートの使用による膜厚方向の高分解能化 積層法(1)においては、平均粒径φ20μmのチタン粉末を用いて焼結後のシート厚さ(分解能)約100μmが得られた。 2) 高分解能レーザカッティング装置の構築 積層法(1)でのレーザ焼結幅は約120μm〜で、積層法(2)では、高集光性レンズを導入した光学系により、約200μm幅(シート膜厚200μm)、約130μm幅(シート膜厚110μmの)でのレーザカッティングに成功した。 3) 放電プラズマ焼結時の空間保持材および焼結条件の最適化 積層法(1)においては、焼結時の体積収縮率のバランスにより塩化ナトリウム粉末が最適な空間保持材であることを明らかにした。一方、積層法(2)では、酸化アルミニウム粉末を充填し、焼結体の変形を抑制した。また、積層した構造体にチタンロッドを複数本配置してシートの積層位置合せの誤差を±約70μmに低減した。 4)(1)チタン粉末シート、(2)金属材料シートを用いた積層法による3次元ポーラスネットワーク構造の作製技術の検討 歯科インプラント作製技術として検討した結果、積層法(1)と(2)のいずれにおいても、気孔率45〜50%、人工骨への応用に適する約300μmの微細空孔を有するポーラス構造体の作製に成功した。しかしながら、積層法(1)では作製したシートの各断面形状やサイズのばらつき、それに伴う低構造体強度、積層法(2)ではシートに付着したドロスの悪影響、構造体表面への微細構造の付与技術が課題となる。 以上の結果、予定していた歯科インプラントの作製及びその評価の実施に至らなかった。今後は、積層法(1)・(2)を組み合わせることにより各課題の補間や改善、他技術への応用展開等が期待される。
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