研究課題
基盤研究(C)
本研究では、機械構造部材として多用されているステンレス鋼とアルミニウム合金に対してレーザピーニング処理を施して、疲労強度信頼性向上を目指すことならびに、それらの向上のメカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は原子力構造部材の一つであるオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lおよび自動車用部材として用いられる溶湯脱ガス処理鋳造アルミニウム合金AC4CHを用いて、疲労予き裂材の疲労き裂進展挙動と航空・宇宙部材である展伸アルミニウム合金7050-T7451の疲労強度に対するレーザピーニング処理の影響を検討した。得られた主な結果を要約すると以下となった。1.両材においてレーザピーニング処理によりき裂進展阻止効果が確認された。特にAC4CHでは予き裂先端の最大応力拡大係数が約5MP√<m>以下であれば、レーザピーニング処理によりき裂はほぼ停止することが明らかとなった。2.これらのき裂進展阻止効果はレーザピーニング処理によるき裂先端の圧縮残留応力の導入と表面近傍の塑性変形によるき裂閉口の影響であることが確かめられた。3.大型放射光施設(Spring-8)を利用してμCT技術によって、AC4CHの内部のき裂形状を非破壊的にかつ三次元的に観察することが可能であることを明らかとした。4.7050-T7451の疲労強度特性に及ぼすレーザピーニングを検討したところ、未処理材の疲労強度・疲労寿命ともに向上し、10^7疲労強度で約20%上昇した。また、疲労寿命は未処理材のばらつきが非常に大きいがレーザピーニング処理材では寿命のばらつきが殆ど見られなかった。以上の結果は、今年度の目標通りの成果が得られており、次年度においてさらに継続し十分な研究成果が得られるものと考えている。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
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