一般工作機械である旋盤を用いて、本研究手法であるねじり押出しによる材料の加工ができるように展開した。ねじり押出し加工を施した材料の結晶組織を観察した結果、独特に伸延している結晶組織の模様が観察された。 マイクロビッカース硬度計を用いてねじり押出し加工した材料の硬度分布を測定した結果、表面層で硬く、内部で軟らかい結晶組織が形成されていた。加工前にはビッカース硬さHVはほぼ均一の36であったが加工後には表面層の硬さが55まで上昇していた。 アルミニウムを用いて材料強度試験を行った。材料として、焼なまし等の熱処理を行っていない引き抜き材を用いた場合、未加工の場合においても、最高荷重に達するまでの材料の一様変形はほとんどなく、最高荷重に達した後のくびれを伴う局所変形が破壞までの変形を支配していた。そのため、ねじり押出し加工した材料の引張強さは改善されなかった。熱処理を行った場合には加工により引張強さが改善されるので、本加工手法を静的強度の改善に適応するには用いる材料を選択する必要がある。 本研究のねじり押出し加工により製作された材料は表面層が硬く、内部が軟らかい。一般に硬い材料は疲労き裂発生の抵抗が高く、また、軟らかい材料ではき裂進展速度が遅い場合がある。したがって、本研究手法で製作した材料は疲労き裂の発生低抗が高く、き裂進展低抗も保たれている可能性がある。本年度においては、本実験材料の疲労試験手法を開発し、その手法で実験ができることを確認している。
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