研究概要 |
本年度においては、主に、ねじり押出し加工を行った材料とねじり加工のみを行った材料の硬さ試験と材料強度試験を行った。加工と実験に用いた材料は面心立方格子の純アルミニウムと純銅である。未加工材の引張強度と硬さを同じ状態に近付けるために、純アルミニウムは受け入れたままの材料、純銅は焼きなました材料をBaseにして研究を進めた。これまでの研究成果に基づき、加工に際しては大型旋盤を用いて強変形を材料に与えた。ねじり押出し加工した場合もねじり加工のみを施した場合も、表面層と内部で硬さの異なる材料が作成され、特に表面において結晶粒が微細化した。E-CAP法では、矩形断面の素材を使用して、断面全体に渡ってほぼ均一な機械的性質の材料が得られるが、本研究では円形断面の素材で表面と内部で機械的性質の異なる材料を作成したことになる。ねじり予ひずみγが異なる材料において,引張試験を行った結果、引張強さは純アルミニウム、純銅の場合ともにγの値に比例して高くなった。しかしながら、疲労強度に関しては両材料において異なる傾向が得られた。高い予ひずみγを与えると純アルミニウムでは疲労強度がγにほぼ比例して高くなり、強度の向上が認められた。純鋼の場合においては、実験範囲のγの値にかかわらず、疲労強度に変化がなく、加工の効果が認めらなかった。したがって、このような実験結果から本加工手法を純アルミニウムに適応すると静的および動的に強度が向上した材料が作成されることが期待されることがわかった。試験片の破壊形態には、加工による材料の異方性によって違いが生じ、興味深いものであった。
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