研究概要 |
本研究の目的は、独自に開発した低温領域を試験可能な超音波疲労試験機を用いて、広範な材料系を評価対象とできる超音波疲労試験方法を確立するとともに、内部破壊の検出方法をアコースティック・エミッション(AE)法に基づき開発することである.前者については完了したが,後者は極めて困難な技術であり,達成できていない。 平成19年度には、低温槽を装着した自作の超音波疲労試験機を用い、ステンレス鋼の超高サイクル疲労強度を評価した成果について「Journl of Solid Mechanics and Materials Engineering」に投稿した.また、「日本高圧力技術協会講演会」で発表した。これらの研究では,雰囲気温度を低温に保ち、超音波疲労試験において著しい発熱を生じるステンレス鋼の超音波疲労試験を可能にし、内部破壊が発生することを確認するとともに、回転曲げ疲労の結果とも比較した.さらに、平均応力の設定できる超音波疲労試験機の製作が完了し、合金鋼に対する実験を開始した。その成果は修士論文としてまとめられたが、現段階では論文として公表するに十分な成果は得られていな。 AE解析システムについては、空中超音波センサー、曲げ強化型光ファイバーセンサーおよびFBGセンサーを購入し、内部き裂が検出できるAEシステムの構築を目指して検討したが、疲労負荷による振動成分を効率的に除去することができず、高感度のAE計測ができなかった。超音波振動の振幅を2段変動荷重として、さらに検討を行っている、 超高サイクル疲労メカニズムの解明には、試験片の内部に発生したき裂の検出と進展モニターが重要なポイントとなる。前者については、光ファイバーセンサーの光学系を検討し、疲労以外の対象にも適用を試み,国内外で発表した、後者については「材料試験技術」で公表した。
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