研究課題/領域番号 |
18560088
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
川田 宏之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20177702)
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研究分担者 |
小柳 潤 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 助手 (60386604)
古挽 彰 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (00373035)
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キーワード | 繊維強化プラスチック / 環境強度 / 長期信頼性 / 応力腐食割れ / 繊維強度低下 / 界面劣化 |
研究概要 |
腐食環境下における繊維強化プラスチック(FRP)の長期信頼性評価を目的とし、水環境下における吸水にともなって生じるガラス繊維強化プラスチック(GFRP)の構成基材の劣化特性を調査した.FRPには強化繊維、母材樹脂、繊維・樹脂界面といった構成基材があり、本研究においてはGFRPの機械的特性に対して支配的であるガラス繊維強度および繊維/樹脂界面の強度低下という微視的損傷に着目した. 母材としてエポキシ樹脂を、強化繊維としてEガラス単繊維を埋蔵したガラス単繊維埋蔵型試験片(SFC)を40[℃]純水中にて浸漬させたまま定ひずみを負荷し、繊維強度および界面強度を低下させた.水中定ひずみ試験後のSFC試験片のフラグメンテーション試験を行い、埋蔵された繊維の破断ひずみから繊維強度を、界面はく離進展から界面強度をそれぞれ測定した.フラグメンテーション試験結果から、水中定ひずみ試験中の負荷ひずみを高くすることにより繊維強度の低下挙動が促進されることが確認された.また、純水温度75[℃]にて水中定ひずみ試験を行った結果、繊維強度低下および界面はく離進展ともに促進され、低い負荷ひずみにも関わらず構成基材の劣化が大幅に加速されることが明らかとなった.そして、ガラス繊維表面に存在する欠陥を起点とした強度低下モデルを用いることにより、水中定ひずみ試験後に低下した繊維強度の低下挙動を予測した.また、吸水膨張の繊維半径方向の影響を考慮することにより、界面はく誰に要するエネルギ解放率および最大せん断応力が負荷時間の経過とともに一定値に収束する傾向があることを明らかとした. 以上より、従来の腐食環境下におけるGFRP材料の強度予測モデルでは、高温環境下において蓄積される微視的損傷を十分に評価できておらず、高温環境下において加速される劣化挙動を考慮するモデルの必要性が示唆された.
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