1.形状記憶合金の繰返し変形特性と疲労特性: TiNi形状記憶合金の低サイクル疲労寿命は、最大の曲げひずみおよびねじれ角のべき関数で表される。疲労限度はマルテンサイト変態の開始点近傍のひずみになる。薄帯板のねじり変形特性は繰返しによりほとんど変化しない。疲労寿命は繰返しのひずみ比が小さいほど短い。超弾性細管で現れる疲労き裂は両振りと片振りで発生および進展の形態が異なる。繰返し変形を受けるとマルテンサイト変態が繰返し生じ、発熱により材料の温度は上昇し、変態応力が高くなるために疲労寿命は短くなる。本研究で得られた疲労特性は記憶素子の設計において許容応力と寿命の設定に使用される。 2.形状記憶ポリマーの長期機能特性:形状記憶ポリマーを高温で長期間大きなひずみを与えて保持すると形状固定率と形状回復率が低下する。非回復ひずみは成形加工の点から考えると複雑な形状の素子を単純な方法で容易に成形できることを意味しており、二次賦形として応用できる。本研究で得られたこれらのデータは形状記憶素子の設計に応用される。 3.高機能形状記憶複合材料の開発:形状記憶合金と形状記憶ポリマーを組み合わせた形状記憶複合材料を成形し、その変形特性を明らかにした。形状記憶効果を表すSMAと超弾性を示すSMAのベルトおよびSMPのシートを組み合わせた複合材料を開発し、最適な成形方法を明らかにした。また、加熱冷却を伴う曲げ試験により、2方向曲げ変形特性および回復力の2方向挙動を明らかにした。得られた研究成果はインテリジェント材料として広範囲の分野で応用することが出来る。
|