研究の目的は、(1)マイクロラマン分光装置を改造し、遮熱コーティング中のアルミナからの高分解蛍光分光スペクトルを解析できるようにする。(2)遮熱コーティング層の破壊やコーティング層と基材(あるいはボンドコート層)間に剥離などを人工的に導入し、マイクロ損傷による蛍光分光スペクトル及ぼす影響を調べる。また、コーティング層の破壊や剥離の最小検出可能な寸法を調べる。(3)任意の形状・寸法を持つ遮熱コーティングへの光ファイバーによる非接触・非破壊検査手法の可能性を明確にし、新しい評価法として世の中に送り出す。 研究実績は、平成19年度までに確立する技術、すなわち繰り返し押し込み試験による界面損傷と蛍光スペクトルの変化との関係について検討した。残留応力の分布と亀裂の関係に関する研究を行い、剥離した部分の高い残留応力ということがわかった。有限要素法で解析を行いTGOの応力と界面損傷の関係について検討した。研究結果の発表を行った。実用温度で熱暴露試験およびその後の繰り返し押し込み試験を行い、損傷判定方法の普遍性について検討した。タービンブレードへ応用する方法論を検討したが、曲率を持つ材料で損傷の詳しい状況を知らないので、試験方法の可能性と限界を明確にした。蛍光スペクトルの最小検出可能欠陥寸法や装置の汎用化への指針を示すとともに研究の取りまとめを行った。今後、継続研究を行う必要があると認識された。また、ほかの遮熱コーティング(たとえばEBPVD)におけるどの関係があるかを研究する課題もあった。
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