研究課題/領域番号 |
18560096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山県工業技術センター |
研究代表者 |
佐山 利彦 富山県工業技術センター, 機械電子研究所, 副主幹研究員 (40416128)
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研究分担者 |
上杉 健太朗 (財)高輝度光科学研究センター, 利用促進部門・イメージングチーム, 研究員 (80344399)
釣谷 浩之 富山県工業技術センター, 中央研究所, 主任研究員 (70416147)
森 孝男 富山県立大学, 工学部, 教授 (30275078)
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キーワード | 信頼性設計 / エレクトロニクス実装 / マイクロ接合部 / X線マイクロCT / 放射光 / はんだ / 熱疲労 / 寿命評価 |
研究概要 |
1、概要 放射光X線CTを用いて撮影した画像から、電子基板のマイクロ接合部における微細組織、および熱サイクル負荷による変化(相成長)を非破壊で評価する技術の開発に成功した。放射光X線をフリップチップ構造体に照射し、元素の線吸収係数の分布を可視化して、約1μmの空間分解能で微細組織の熱疲労による変化を観察した。同一試料の時系列観察結果から、微細組織変化の定量化を行い、その変化率を評価指標として疲労き裂の発生寿命を推定する手法を開発した。 2、具体的研究内容・成果 (1)、微細組織変化 SPring-8の放射光X線マイクロCT装置により、元素の線吸収係数(LAC)の空間分布を正確に捉えることに成功した。フリップチップ構造体に熱サイクル負荷を加え、同一のはんだバンプの微細組織変化を時系列観察したところ、LAC分布の変化から、相成長の過程を定量化した。その結果、微細組織の平均相寸法の4乗(パラメータSで表示)がサイクル数に比例するように、微細組織が変化することが明らかとなった。 (2)、疲労き裂発生寿命の評価 微細組織変化を表すパラメータSのサイクルあたりの変化率と疲労き裂の発生寿命との間には、累乗則の関係がある。この関係を用いて、放射光X線マイクロCTによって得られた画像から、疲労き裂の発生寿命を非破壊で評価することが可能となった。 3、成果の有用性(産業高度化、社会的ニーズ、工学的意義) エレクトロニクス実装において、接合部のマイクロ化は急速に進行しており、信頼性評価技術に対するニーズが高まっている。マイクロ接合部における疲労損傷が微細組織レベルで解明されたこと、非破壊によるマイクロ接合部の寿命評価が可能になったことの工学的意義は非常に大きい。開発した手法は、電子機器業界のニーズにタイムリーに応えるものであり、将来、関連企業製品の高度化、信頼性向上に大きく貢献することが期待できる。
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