研究概要 |
非導電性研削ホイールのブリッジ放電ツルーイングを実現することを目的とし,電極の作成方法について検討するとともに作成した電極対の耐電圧試験を行った.具体的には,電極基材の種類,電極基材の表面粗さ,絶縁層の厚さによって電極対の耐電圧がどのように異なるかについて調べた.電極基材としてジュラルミンA7075(かさ比重2.82g/cm^3,固有抵抗値5.8μΩcm,ブリネル硬さHB155,熱膨張係数23.6×10^<-6>/℃,熱伝導度130W/m℃,溶融点476℃〜638℃)とグラファイト(ル・カーボンマテリアルズE+25:かさ比重1,82g/cm^3,固有抵抗値1400μΩcm,ショア硬度65未満,熱膨張係数5.9×10^<-6>/℃,熱伝導度93W/m℃,平均粒径10μm)を用意した.3μm,6μm,9μmのダイヤモンドペーストで電極基材表面を研磨し,粗さの異なる表面を各電極材料に対して用意した.そしてそれらの表面に有機溶剤に溶かしたペルヒドロポリシラザンをスプレー塗布し,SiO_2の絶縁層を形成した.ペルヒドロポリシラザンは,空気中の酸素や水分と反応することによって高純度のSiO_2の膜を形成する.本実験では,SiO_2の膜厚を変化させるため,ペルヒドロポリシラザンのスプレー塗布と室温乾燥を繰り返し行った.その後,本研究費補助金で購入した電気炉を用い,120℃で1時間,温度95℃湿度80%で3時間処理してSiO_2の膜を形成した.グラファイト電極はポーラスであるため,表面処理せずにペルヒドロポリシラザンを塗布すると浸透してしまい,SiO_2の膜を形成することができなかった.そこで,グラファイト電極に対してはスプレー塗布前にプライマー処理を行った.次に,形成した絶縁層の上にスリーボンド社製の導電性接着剤(3303N)を直径6mmの円形に塗布し,180℃で3時間加熱して導電性接着剤を硬化させた.電極材料と導電性接着剤との間の耐電圧試験はOV〜380Vの印加電圧で行った.耐電圧試験の結果,表面粗さと絶縁層の厚さが耐電圧に与える影響については明確な傾向は見られなかったが,グラファイト基材の電極では2μm〜4μmの絶縁層の厚さに対して170V〜360Vの耐電圧が得られることがわかった.また,ジュラルミン基材の電極では2μm〜9μmの絶縁層の厚さに対して260V〜380V以上の耐電圧が得られることがわかった.
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