研究概要 |
非導電性研削ホイールに対するブリッジ放電ツルーイング(接触放電ツルーイングの一種)を実現することを目的とし, 年度初めは前年度に引き続いて正電極・絶縁層・負電極から構成されるツルーイング電極の絶縁層の形成方法について検討した. その結果, 塩化ビニルフィルム(厚さ23μm)を数枚積層させて絶縁層を形成することで, 正電極と負電極間の絶縁状態を比較的安定して確保できることがわかった. 次に, 電極材料として,軟鋼,ジュラルミン, グラファイト,銅の4種類を用い, また, 絶縁材である塩化ビニルフィルムの積層枚数を変えることで絶縁層の厚さを23μm, 46μm, 92μmと変えた合計12種類のツルーイング電極を作成し, 電極材料, 絶縁層の厚さ, 研削ホイールの粒度番号, 研削ホイール回転数,電極送り速度が接触放電の発生にどのような影響を与えるかについて調べた. 非導電性研削ホイールとして粒度番号が異なる3種類のレジンボンドダイヤモンド研削ホイール(SD600N125B, SD1000N125B, SD2000N125B)を用意した. 実験の結果, グラファイトを電極材料として用いた場合は, その他の条件を変えてもほとんど放電電流が流れないことがわかった. それに対し, 軟鋼やジュラルミンを電極材料として使用した場合, 安定してツルーイングを継続することができることがわかった. また, 銅を電極として使用した場合は, 電極材料の延性が高すぎるため, 正電極と負電極がバリによって短絡してしまい, 安定してツルーイングを継続できないことがわかった. 軟鋼やジュラルミンを電極材料として使用し, 適切なツルーイング条件を適用することで, 非導電性研削ホイールの真円度を接触放電によって改善できることを実験により確認した.
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