研究概要 |
(1)レーザによる砥石作業面のコンディショニングに関する研究 砥石作業面の状態を最適化するコンディショニングには,(1)結合剤を除去して砥粒に適切な突出し高さをもたせるドレッシング,(2)砥粒先端を加工して高さ整えるツルーイング,(3)目づまり(工作物の凝着・溶着層)を取り除くクリーニングがあるが,平成18年度は(1)のドレッシングを行った.メタルボンドダイヤモンド砥石にレーザを照射すると,結合剤は熱膨張して再凝固するため,エアジェットによって溶融した結合剤を吹きとばす必要がある.このエアジェットの供給は砥粒や結合剤の熱的損傷を抑制する効果がある.レーザパルス幅,発振周波数,ホイール回転速度を適切に調整することによりホイール全面に一様にレーザドレッシングすることが可能となり,適切な突出量の砥粒が生成できる.レーザドレッシングにおける砥粒の黒鉛化やその後の研削加工においても砥粒の脱落などは生じず,良好な砥石作業面の生成に成功している. (2)研削熱を利用した鋼材の表面改質加工法(研削焼入れ)に関する研究 クロム・モリブデン鋼を対象とした円筒外周プランジ研削での研削焼入れを試み,表面硬化加工法として有効であることを検証した.研削焼入れでは,工作物表面に黒い酸化膜を形成することが必要で,この酸化膜の存在によって研削面表層に硬化層が形成されたことが確認できる.硬化深さに最も影響を及ぼすのは砥石切込み速度ν_aで,ν_a=100mm/sで硬化層深さz_d【approximately equal】160μmを得ることができる.工作物周速度を大きくすると砥石と工作物との接触時間が減少するため硬化層深さは減少する.研削焼入れ後にスパークアウト研削を行うことで工作物表面から酸化膜を除去するとともに,鏡面に加工することが可能になる.
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