研究概要 |
(1)レーザによるメタルボンドダイヤモンド砥石作業面のコンディショニングに関する研究 砥石作業面の状態を最適化するコンディショニングには,(1)結合剤を除去して砥粒を突き出させるドレッシング,(2)砥粒先端を成形して高さを整えるツルーイング,(3)目づまりを取り除くクリーニングがあるが,平成19年度は平成18年度に引き続き(1)のドレッシングを行うとともに,(2)に取り組んだ。まず(1)については,レーザと同時にエアジェットを砥石作業面に照射することによって,レーザの熱エネルギーで溶融した結合剤を吹き飛ばして効率的なドレッシングが可能なことを示した。H19年度はレーザの砥石表面からの反射光によるレーザヘッドへの熱損傷を防ぎ且つレーザとエアジェトの照射点を高精度に一致させるため,レーザ・エアジェット一体型照射ノズルを開発した。これにより任意の照射角度でのドレッシングが可能になり,実用化に向けて一歩前進した。 一方,(2)のツルーイングは電着ダイヤモンド砥石を用いて行ったが,ダイヤモンド単結品がYAGレーザ(λ=1μm)や半導体レーザ(λ=0.8μm)を透過することから,レーザエネルギーを効率的に熱に変換してダイヤモンド砥粒を除去することは難しい。ただし,一定の条件化では砥粒先端が黒鉛化し,この黒鉛層は容易に除去できるため,レーザ照射と研削加工を同時に行うレーザアシストツルーイングの可能性をみいだした。 (2)研削熱を利用した鋼材の表面改質加工法(研削焼入れ)に関する研究 クロム・モリブデン鋼を対象とした円筒外周プランジ研削での研削焼入れを行い,表面硬化加工法として有効であることを確認した。硬化深さに最も影響を及ぼすのは砥石切込み速度で,切り込み速度100mm/sで硬化層深さ160μmを得ることができる。一方,トラバース研削では,砥石幅と送り(mm/rev)を同一にし,工作物の同一箇所を重畳して研削しないようにすることで局部的な焼き戻しを回避し,ほぼ一様に焼入れを施すことが可能になる。実用的なレベルの焼入れ層深さを確保するためには,より剛性のある工作機械が必要である。
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