研究課題
本研究では超精密工作機械のための位置決めシステムの機能要素として、駆動機構と位置決めテーブルを接続する「能動型静圧継ぎ手」を提案している。これまでにも静圧継ぎ手の提案は数多くなされているが、本研究で開発された静圧継ぎ手では組み込まれている静圧軸受が能動制御されることを特色とするものである。初年度に引き続き、本年度の研究により、能動型静圧継ぎ手の機能を確認・整理し、この能動型静圧継ぎ手を採用した超精密位置決めシステムの実用性を明らかにした。おもな機能は次の通りである。○機能1:駆動機構からの振動遮断機能静圧継ぎ手本来の機能であり、駆動機構(実験ではツイストローラ摩擦駆動装置を使用)で生じるマイクロメートルオーダの振幅の横方向振動が位置決めテーブルに伝わることを抑制する。実験により、静圧継ぎ手を介して接続される位置決めテーブルの真直度、横方向振動の振幅は10ナノメートル程度に抑えられることを確認した。この機能を発揮する際、継ぎ手の送り方向剛性低下が問題となるが、能動制御を行うことで送り方向剛性を無限大とすることができるので、能動型静圧継ぎ手は理想的な継ぎ手であると言える。○機能2:高分解能での位置決め機能静圧継ぎ手部の空気膜厚さを能動制御することで、サブナノメートルオーダでの高分解能位置決めが可能であることを確認し、実験により最高50pmの分解能での位置決めに成功している。さらに、軸受面に配置された4カ所の能動自成絞りを別個に制御することで、μrad以下の微小角度ステップでの回転・姿勢制御も可能であることを確認した。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
Proceeding of 7th international conference of euspen Vol.1
ページ: 196-199
International Journal of Precision Engineering and Manufacturing Vol.8, No2
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機械の研究 59巻2号
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