研究概要 |
本研究は,複合加工機の直進および回転送り運動に伴う6軸方向熱変位の同時測定が可能な総合的高能率評価法を確立することを最終的な目的としている.そこで,本年度は本研究の主な検討課題のうち,以下の検討を行ってそれぞれに知見および成果を得た. 1.Z軸直進送り運動に伴う6軸方向熱変位の測定評価 熱電対による温度測定点を増やしたことやサーモトレーサによる広範囲な表面温度測定によって,機械構造の詳細な温度分布を把握できるようになった.そして,これらの温度分布に基づき測定された熱変位を検討した結果,その妥当性が確認できた.さらに,熱変位モードの推定についても,これらの温度測定結果を用いてその妥当性を検証した. 2.X軸直進送り運動に伴う6軸方向熱変位の同時測定装置の開発 X軸直進送り運動に伴う6軸方向熱変位の同時測定装置を開発した.この測定装置は,X方向に測定ターゲットを3箇所配置したターゲット治具を旋削用の第一主軸に取り付けることにより,X軸直進運動に沿った3測定点での6軸方向熱変位を同時測定するものである.そして,この測定装置を用いた測定評価を行い,Z軸直進送り運動の場合と同様に熱変位特性の評価や熱変形モードの推定が行えることを確認した. 3.B軸回転送り運動に伴う6軸方向熱変位の測定評価 総合的評価法を目指す上では,仮に回転送り運動であっても,測定装置は直進送り運動用のものと共通であることが望ましい.この理由から,B軸回転運動用に特別な装置を開発する必要性は低いものと考え,X軸直進送り運動に伴う熱変位の測定装置を使用することとした.そこで,一定回数B軸運動を繰り返した後に,X軸運動用の測定装置を用いて熱変位を測定するという測定サイクルによって試験を行った.この結果,B軸回転送り運動に固有な熱変位特性を評価できることが分かり,本試験法の妥当性を示せた.
|