研究概要 |
本研究は,数mm程度のメゾスケール部品の超精密創成に適した,超精密小型加工システムを開発することを目的にして実施している.具体的には,これまでに研究代表者が考案し開発に成功している,超精密小型ウォータドライブスピンドルを基盤技術にして,オールウォータドライブの超精密小型加工システムを開発しようとするものである.本年度は,ウォータドライブステージの開発を行い,次の成果が得られた. (1)ウォータドライブステージの基本構造の考案 ウォータドライブステージの基本構造を検討し,水静圧軸受で支持されたステージ内部に,ステージを駆動するためのピストン機構を組み込んだ構造を考案した.これに基づいて,ステージの設計とシミュレーションに用いる数学モデルを導出した.本ステージの特徴の一つは,駆動力がステージの重心に作用することにより,高い直線運動精度が得られるようにしていることである. (2)設計用ソフトウエアの開発 ウォータドライブステージの性能を計算するためのソフトウエアを開発し,ステージの主要寸法を決定した.設計したステージのストロークは約15mmである. (3)ウォータドライブステージの性能評価実験 開発したウォータドライブステージの基本性能を測定した結果は次のとおりである.ステージの真直度は,10nm/15mm,水静圧軸受の支持剛性は,供給圧力が0.4MPaのとき,22N/μm(水平方向),151N/μm(鉛直方向)である.また,流量とステージ速度間の関係は,120ml/min供給時に,1.1mm/secであり,ダイヤモンド切削に適用可能な小型ウォータドライブステージが開発できた.
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