近年超精密領域における加工方法の進展には著しいものがあり、要求される加工精度も格段に飛躍している。このような精密加工部品は、その表面形状が機能特性を左右することが多く、輪郭形状の高精度測定が不可欠となる。またこのような高精度部品の輪郭形状測定には、表面に傷などの損傷を与えないように非接触測定が望まれることが多い。しかしながら、レーザを使用する市販の大方のセンサの出力は、スペックルノイズにより異常値が発生し、接触式のそれと大きく異なっている。本研究の目的は異常値を抑制し、接触式測定機と相関が得られる非接触式センサを開発することである。 a) 昨年度の研究において、照射スポット形状を円形(φ1μm)から楕円形(1μm×5μm)に変換し、共焦点法を用いた変位測定システムの構築と測定プログラムの作成を行った。変位測定システムは光学定盤上で構築し、最も異常値が発生する放電加工面において、触針式表面粗さ測定機とほぼ一致する算術平均粗さを得ることができた。またNI社のLABVIEWを使用した測定プログラムにより、高速測定が行うことができ、温度ドリフトの影響を大幅に低減した。 b) 以上の結果より本年度は、楕円形スポット-共焦点式光触針式センサの実用化を目指し、センサの小型化を行った。試作センサの外形寸法は95mm×75mm×52mmであり、オートフォーカス用アクチュエータには静電容量線センサ(分解能0.01μm)付の可動範囲は200μmのPZTを採用した。試作センサに放電加工面を用いて輪郭形状測定を行った結果、触針式表面粗さ測定機と同等の結果が得られた。
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