研究概要 |
・助走部を有する断面一様流路に発生する帯電量の測定 ステンレス製金属板(厚さ5〜10mm)を3枚重ね断面が一様となるように穴をあけた流路を製作し,中心部分の板に発生する電荷量を測定した.脈動のない定常流れにおける発生量は,これまでの測定と同じく,流速に比例した結果となった. ・脈動流れにおける発生電流の測定 測定部下流の流路抵抗や配管を工夫し,平均流量とほぼ同じくらいの脈動振幅を持つ流れを作り出すことによって,十分な大きさの発生電流を得ることができた.流量振幅に対する発生電流の大きさは,脈動周波数が一定の場合はほぼ同じであるが,脈動周波数の増加に対して小さくなる傾向が見られた.この結果は,金属網に発生する帯電量の測定結果と同じである.しかし過渡流れにおいて流速変化が大きくなるにつれて発生量が多くなる結果と矛盾する.さらに発生電流が流れの変化に対して遅れ,遅れ時間が周波数に関係なくほぼ一定値であるという現象が観察された.これは,脈動周波数が増すにつれて,界面における電荷の発生量と緩和量がほぼ等しくなるためではないかと考えられる. ・平均流量零の振動流れにおける発生電流の測定 油圧管路を工夫し,平均流量零の振動流れにおける発生電流を測定した結果,脈動流れと同様の周波数特性が得られた.また発生電流の周波数は振動周波数と同じであった. ・界面での電荷の発生と緩和の数値シミュレーション 電荷の発生が流速変化に追従し,緩和が拡散現象を伴うため時間的な遅れが生じることを調べるために,現象をモデル化し,数値シミュレーションを行った.流れ初めに過渡電流が発生する現象はシミュレーションでも見られたが,脈動流れにおける周波数特性については,さらなるモデルの構築が必要であることが明らかとなった.
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