研究課題
しゅう動機械要素の素材の代表である鋼は、その結晶粒径を微細化することにより機械的・物理的特性が飛躍的に向上することが知られている。本研究では、結晶を微細化する熱処理とショットピーニングを組み合わせた材料強化加工法によって微細結晶化するメカニズムを調査し、しゅう動機械要素の表面強度向上を実現するための加工条件を明らかにすることを目的としている。スラスト軸受験機を用いて、浸炭熱処理後に生成される浸炭異常層に対し直径数十μmの粒子を100-200m/sの高速で数十秒衝突させたショットピーニング加工試験片と、浸炭異常層を数時間かけて研削により除去した研削加工試験片の両者の表面疲労寿命を統計学的観点から調査した結果、両者の疲労寿命に差はないことが判明した。すなわち、短時間で加工が終了するショットピーニング加工の試験片が、それよりも時間を費やす従来から行われている研削加工と同等な寿命を有することは、ショットピーニング加工では加工時間が短縮できるという理由による製造コストの低減を達成できるといえる。さらに、ショットピーニング加工よって創製されたディンプル形成状がしゅう動機械要素の潤滑状態に及ぼす影響を調べるため、ショットピーニング加工で形状される微細表面および研削仕上げ表面のモデルを作成し、レイノルズ方程式に基づいて潤滑状態の解析を行っている。最小油膜厚さについては、ディンプル形状をモデル化したモデルは油膜暑さが厚くなっている確率が高いことがわかりつつある。しかし、ショットピーニング加工の凸表面では接触圧力が平板に比べて高くなっていた。大きな接触圧力は破損の原因となり得るため、接触圧力の大きさを考慮し、創製される表面微細形状設計を考慮する必要がある。
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