研究概要 |
12ヒドロキシステアリン酸リチウム(Li(OH)St)とステアリン酸リチウム(LiSt)を主金属石けん,鉄,銅.アルミの12ヒドロキシステアリン酸塩およびステアリン酸塩を副石けんとする混合金属石けんグリースを作成し,球/円板型すべり試験機により境界潤滑条件下摩擦特性を調べた.その結果の要約を以下に示す. 1.2種類の主石けんグリースともに,混合石けんグリースの方が主石けん単独グリースよりも摩擦係数は低くなり,混合金属石けんグリースが摩擦特性に優れることを明らかにした.円板 2.摩擦特性には円板材質の影響が大きく,今回使用した円板材料における摩擦係数は.概ね銅<アルミ<鋼の順であった. 3.同一金属よりなるグリースに関しては,12ヒドロキシステアリン酸石けんM(OH)Stの方がステアリン酸石けんMStよりも境界摩擦係数が高い.これはM(OH)St石けんの方がせん断強度が高いことに起因すると考えられる. 4.Li(OH)St主石けんグリースにおいては,M(OH)St副石けんの混合グリースはM(OH)St単体グリースよりも摩擦係数は低くなるが,MSt副石けんの混合グリースはMSt単体グリ-スよりも摩擦係数は高くなった.一方,LiSt主石けんグリースにおいては,MSt副石けんの混合グリースがM(OH)Stよりも摩擦係数は低く,良好な摩擦特性を示した.すなわち,Li(OH)St主石けんグリースでは,同じOH基を有するM(OH)St副石けんが,LiSt主石けんグリースではOH基を持たないMSt副石けんが良好な摩擦特性を与えることが分かった.
|