1.超高密度記録用ナノ周期積層膜の形成 (1)ナノ周期積層膜形成法:将来の大容量メモリーを実現するため、情報を記録する媒体として物性の異なった層を積層したナノ周期積層膜を形成する炭素(C)と窒化ホウ素(BN)および金(Au)と四フッ化エチレン(PTFE)の二種類の材料を数原子ないし数十原子層の厚さで交互に規則正しく周期的に積層するナノ周期積層膜を形成した。 (2)積層膜形成条件の適正化:記録媒体検討用のナノ周期積層膜形成用に高周波バイアススパッタリング装置を用い、まずAu、PTFEそれぞれの単層膜について適切な薄膜形成条件を明らかにし、ナノ周期積層膜の適切な形成技術を求めた.このとき膜の物性に大きな影響を与える基板側のバイアス電圧に着目して膜形成を行い、平滑な膜形成が可能な条件を求めた. 2.超高密度記録のためのナノ加工特性の検討 (1)導電性加工工具(チップ)によるナノ加工の実現:ボロンドープダイヤモンドおよび導電性カーボンナノチューブ(CNT)チップを用い放電とトライボ作用を併用した加工を実現した。現状では電圧付与により試料が隆起する現象が見られ、それを活用した新しい加工の検討を行っている。 (2)層単位の加工:(1)原子間力顕微鏡(AFM)でダイヤモンドチップを用いてナノ周期積層膜の境界部の欠陥進展防止効果を活用して、(BN/C)、(C/BN)ナノ周期積層膜について1層毎の加工を実現した。(2)さらに複数層の加工を実現するためナノ周期積層膜についてAFM、ナノインデンターを活用し、ナノ加工実験を進めている。 3.記録情報の再生法の検討 ナノ周期積層膜の積層単位に加工された情報を再生する方法として、(1)形状差、(2)摩擦力の差、(3)電流分布の差を評価し、(BN/C)ナノ周期積層膜について電流分布の差を評価した。
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