研究概要 |
本研究では,固定直動ガイド側から給気することで,給気チューブを移動テーブルに装着せずに静圧空気案内を構成できる表面絞り型静圧空気軸受を用いた排気・シール部付き静圧空気テーブル機構を提案する.さらにこの静圧空気テーブルに,駆動源である空圧アクチュエータを内蔵し,磁場発生のない完全非接触・精密位置決め機構を実現することを目的とする.本年度は,製作した位置決め機構を大気圧中において空圧シリンダおよび高精度な空圧サーボ弁を用いて駆動することにより,位置決め性能を実験的に明らかにする.これにより,0.1μm以下の位置決め精度を実現できる位置決め機構および静圧空気軸受構造の設計法を確立することを試みた.次に,本研究で採用した表面絞り型静圧空気軸受の静剛性は,他の絞り形式の静圧空気軸受に比べ低い(他の軸受形式の約50%の静剛性)という欠点がある.そこで本研究では,給気ライン中に直列に絞りを挿入するという簡便な方法による表面絞り型静圧空気軸受の静剛性向上法を提案し,その有効性を確認するとともにその設計法の確立を試みた.結果として,以下のような結論を得た. 1.空気圧シリンダを内蔵した位置決め機構の位置決め精度を測定した結果,現在のところ,整定時間3.3sで,50μmの位置決め精度が得られた.これについては,今後,制御法の改良等を行い,目標値の位置決め精度0.1μmに到達させる予定である. 2.静圧空気軸受の給気ラインにオリフィス絞りあるいは多孔質絞りを挿入した軸受特性を,理論的,実験的に求めた結果,提案した手法を用いることにより軸受を不安定にすることなく軸受の静剛性を高められることが明らかとなった.
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