研究概要 |
本研究では,まず,固定直動ガイド側から給気することで,給気チューブを移動テーブルに装着せずに静圧空気案内を構成できる表面絞り型静圧空気軸受を用いた排気・シール部付き静圧空気テーブル機構を提案する.さらにこの静圧空気テーブルに,駆動源である空圧アクチュエータを内蔵し,磁場発生のない完全非接触・精密位置決め機構を実現することを目的としている.さらに製作した位置決め機構を真空チャンバ内に設置し,空圧シリンダおよび高精度な空圧サーボ弁を用いて駆動することにより,提案する機構の真空度維持性能および位置決め性能を実験的に明らかにする.これにより,10^<-5>[Pa]オーダの高い真空度を維持しつつ,0.1μm以下の位置決め精度を実現できる位置決め機構および静圧空気軸受構造の設計法を確立することを目的とした. 19年度の実施計画としては,(1)18年度に製作した位置決め機構を真空チャンバ内に設置し,提案する位置決め機構の真空度維持性能の測定を行う,(2)その際,静圧空気軸受のみを動作させた場合,および,空圧シリンダをともに動作させた場合の真空度維持性能を測定する.これにより,提案する位置決め機構の有用性を確認する,(3)真空度維持性能の測定に際して,静圧案内テーブルの移動速度,静圧空気軸受への給気圧力,空圧シリンダの動作空気圧力を変化させ,種々の使用条件に対する本位置決め機構の性能評価を行うとした.結果として,(1)製作した位置決め機構を真空チャンバ内に設置した場合,計算で得られた真空度に到達しなかった.この原因については,排気溝設計において,排気溝部の抵抗が大きく設計に際しては,この部分の抵抗を考慮する必要があることが明かとなった.(2)エアシリンダを用いた位置決めの実験を大気中で行うことにより,大気中においては,1μm程度の位置決め精度を達成できることを確認した.今後さらに,精度を上げる予定である.
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